加熱することによって美味しくなる理由というのは、食べた時に感じる旨みなどの成分というのは食材の細胞膜に包まれています。
その細胞膜というのはタンパク質や食物繊維が該当するのですが、これらの細胞膜は固く歯で噛んでいても簡単には砕けないです。
そのため生のままで食べても、30回以上噛まないと細胞膜が壊れないので食材の本来のおいしさを味わえないです。
そこで食材の本来の味わいを楽しむために、加熱調理という方法が考案されます。
食材の細胞膜というのは熱に弱く、加熱によって温められると徐々に細胞膜の結合が壊れていくのです。
細胞膜の結合さえ壊してしまえば、その中にあるうまみ成分が味覚を感じる機関に直接送れるので美味しさがアップします。
ただ加熱調理によって細胞膜が壊れるといっても、食材によって細胞膜が壊れる時間は違います。
そのため細胞膜が固い食材を加熱調理すると、どうしても30分以上かかってしまうので他の作業がしにくくなります。
そこで調理の時間を短縮する目的で、一気に普及したのが真空調理法です。
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真空調理法というのは、その名の通りに空気を極限まで抜いた鍋の中で調理をすることです。
空気を極限まで抜く鍋で調理をするメリットというのは、簡単に言えば地球の引力は下に向かって働いているのを空気が押し上げている状態になっています。
空気を抜くことによって外側に追いやる力が無くなると、鍋の中では地球の内側にかかる引力の力だけが一点にかかるのです。
引力の力だけがかかる状態になると、鍋の中に入っている食材の細胞膜に加熱だけでなく引力の圧力もかかるので簡単に破壊することができます。
食材の細胞膜を簡単に破壊することができれば、一般的な鍋調理法では1時間以上かかったのが真空状態によってその半分の30分以内で味を引き出すことができるのです。
近年では時短かつ料理がおいしくなる真空調理法をもっと普及させるために、加熱しなくても空気を抜く機器が開発されています。
加熱しなくても空気を抜くことによって真空を作り出せば、生の状態のまま細胞膜を壊せるので出し汁を浸透させることができることで焼き物や蒸し料理など多岐にわたって作ることができるのです。